top of page

 海潤  札幌の高級住宅街に進出  住民は「民泊」「転貸」「転売」を懸念 

 中国系不動産会社「海潤(ハイルン)」(札幌)は16年2月、宮の森2条に3階建てマンション(5戸)2棟とコンセプトハウス、管理事務所の建設を発表した。1棟は9月に完成する。札幌市中央区の宮の森地区は高級住宅街で、大倉山ジャンプ競技場や円山公園などでも知られる。

 ツアー客をマンションに泊める民泊転貸の懸念がある。転売されれば、購入者は「買った」と言い張り、賃借人は行方不明、となり得る。

 3月初めの住民説明会には90人以上が出席した。説明会で同社は「いずれの建物も購入者が居住する。民泊施設ではない」と述べ、管理規約原案の開示を検討する約束も交わした。だが、約束は履行されなかった。

 住民側は「宮の森の環境を考える会」を結成し、居住目的で販売すること、居住者の責任で旅行者には利用させないことなどを明文化した協定書の原案を送付した。

 だが同社は回答せずに工事を進めた。そこで住民側は6月中旬、札幌簡裁に調停を申し立てた。7月20日に行われた1回目の調停は不調に終わった。

 「考える会」関係者は「われわれは決して建設に反対しているのではないし、中国人だから困るとも言っていない。排除しているわけではない」と強調。その上で、「外国人が住むとなると、生活環境の違いも理解してもらわないといけない。共存するためにも、約束事やルールを文書化して、周知徹底しておきたい」と話す。

 馬副社長は「考える会からはいろいろな要求が出された。われわれは民泊ではないと申し上げてきた。多くの住民には理解していただいた。文書については考える会ではなく、町内会との間で交わすことは可能だ」と述べた。

 ある主婦は「コンセプトハウスは中国人社長の別荘と聞いたので、それならいいかなと思ったが、不特定多数の人が出入りするなら困る。マンションもお金持ちの別荘として売り出しても、実は民泊に使うのではないかという心配もある」と不安をのぞかせる。そして、「住民説明会のときはどういう人が住むのかについて具体的な説明はなかった。建設開始の時期もはっきりしていなかったのに、すぐに工事が始まった。別荘も社長がいない間は、何人か共同でという話も聞いた。○○さんの家という説明がないから困る」と不信感を募らせる。

 同社はすでに宮の森地区に3階建てマンション1棟(19戸)と空き家1軒を所持するほか、札幌市内でも地上30階地下1階建てマンション(99戸)や地上20階地下1階建てマンション(53戸)を仲介販売している。「昨年(15年)は15件の成約があった。顧客は中国系の富裕層で、年収は数億円から高い人だと60億円ほど。扱う物件は安いものでも5千万円。高いと2、3億円になる」(馬宏軒副社長、16年5月、地元紙のインタビュー)。

 同社が属する民間最大手の映像制作会社「海潤メディアグループ」(北京)は5年以内に札幌かその近郊に撮影所の建設を計画している。

 宮の森1条でも、地元の不動産会社が地上4階地下1階建てマンション(24戸)を建設しようとした。土地の半分は中国人が買い占めており、住民は中国資本の影を不安に感じた。宮の森1条の計画は頓挫した

                                元の情報:産経新聞16年7月30日(宮本雅史)。文章の再構成:鳥居

bottom of page