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 日本買い  送金規制            17年の動き 

 日本買い 

 「炒房」(不動産投資)は1990年代の鄧小平・改革開放路線からが始まった。「党幹部」「農村戸籍」「成り金」が私的所有を求め、資金は海外に向かった。カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは「投資移民」に永住権を与え続けた。2014年、カナダ、オーストラリアが規制強化を始めた。自ずと日本が標的となった。

 ①不動産取得の外資規制がない。②大都市のマンションは賃貸利回りが高い。③円対元は日銀の異次元緩和で100対8.1(2011年)から100対6.1(2016年)となり、円は5年で25%下落した。④2015年の入管法が改正され、外国人が不動産業を行えば「経営・管理」資格が得られ、その後10年住めば永住権が申請できる。

 2016年の1年間で、777ha(ディズニーランド15個分)の土地が外資に買われた(農水省調べ)。日本国内拠点外資575ha、外国拠点資本202haである。多くは北海道にある。中国、香港、台湾出身者が取得面積の81%を占める。華僑を含めば9割を占める。

 2012年に、北海道の水資源保全条例が施行された。森林や沼地を外資が取得する際、3か月前までの届出が義務づけられた。だが、買収自体を規制できるわけではなく、罰則規定もない。

 北海道市長会は2016年10月、政府に法規制を求める方針を決めた。議論は今始まったばかりである。

 送金規制

 16年11月、500万㌦を超える海外投資、外貨購入、海外送金は事前に国家外為管理局(SAFE)や人民銀行の職員と面談し、同意を得ることを義務づけた。大口を小口に分けて送金することも認めない。

 16年の大晦日、SAFEの新たな規則が発表された。1人当たりの外貨購入枠は年5万㌦(575万円)で変わらなかった(115円/㌦)。だが、「海外での不動産、証券、保険商品、投資型ファンド商品の購入に使わない」と誓約する。出張、旅行、留学、親族訪問、治療、商品取引、貨物貿易、非投資型保険商品の購入、コンサルティング業務など、使途を申告する。使用予定年月も申告する。年5万円枠の貸与も許されない。

 違反者は監視リストに載り、外貨購入枠を取り消され、資金洗浄捜査の対象となる。違法送金は国内に戻され、違法送金額の30%または5万元以下の罰金が課される。

 これまで、中国人が日本に送金する場合、①家族各人が外貨を購入し、数回に分けて持ち寄る。②香港、マカオ、台湾の地下銀行を通して日本の口座へ移す―という方法があった。

 だが、17年7月からは個人で5万元(850万円)以上、法人で200万元以上、外貨は20万㌦相当以上の送金は「高額現金取引」とみなされ、銀行が監督機構に報告する。資金洗浄の疑いがあれば5日以内に報告する。

 中国の外貨準備高は14年6月に極大値3兆9932億米㌦、17年1月に極小値2兆9982億㌦を示した(SAFE)。2月は3兆㌦台に戻したが、その後は停滞を続ける。

 中国の米国債保有額は11年7月の1兆3149億㌦を記録したが、その後減少を続けている。16年末には前年より1553億㌦少ない1兆908億㌦に減った(米財務省)。最大の要因は、ドル売り・元買いの原資とするために売却したことである。16年11月にはトランプ当選ショックによる米国債下落もあった。

 仮想通貨三大取引所は当局の規制に抗しきれず、17年10月までに全取引を終える。

​                                                     2017年7月​

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