中国が買う 加拿大 澳洲 新西兰 日本の不動産 19年の動きi
カナダ・オーストラリア・ニュージーランド(加拿大・澳洲・新西兰)
中国人による外国不動産購入は10年の7億2000万RMP(50億㌦)から16年には140億RMP(1000億㌦)に伸びた。今後10年間で海外に投じられる資金は2200億RMP(1兆5000億㌦)あり、半分の1090億RMP(7500億㌦)が不動産に向かう(居外 = Juwai.com)。その意欲は「止められない巨人」と言われている(ジョン・エリス = 国際不動産取引サイト「インベストリスト」のCEO)。6.907RMP/㌦
カナダ(加拿大)のブリティッシュ・コロンビア州では、16年にバンクーバーの不動産価格が急騰、17年にはヴィクトリアでも急騰した。バンクーバー市長のグレガー・ロバートソンは、税率が低く、規制が緩いところに資本が流入する現象を「ウォーターベッド効果」と表現した。17年、外国人の投機に厳しいジョン・ホーガンが州の首相に就いた。①15%の外国人不動産取得税を導入し、18年に20%に引き上げた。②18年、完成前のコンドミニアムの転売禁止を決めた。③18年、州に所得税を納めていない国外および国内の投資家に対し、不動産価格の0.5%の税を課した。19年は2%に引き上げた。子どもと配偶者に教育と就業の機会を与えるために州に住まわせ、一家の稼ぎ手は母国に残る主に中国系家族を指す「サテライトファミリー」にも及ぶ。主要住宅や長期的な賃貸物件は免除される。
オンタリオ州のトロントも17年に15%の外国人不動産取得税を導入した。
オーストラリア(澳洲)では住宅購入の5%が外国人によるものであり、大半は中国人による(18年、オーストラリア準備銀行)。17年の中国人による住宅地の購入額は15億㌦であり、これはオーストラリア全体の3分の1を占める(不動産会社ナイト・フランク)。シドニーのあるニューサウスウェールズ州は17年、外国人購入者への税率を8%に引き上げた。
ニュージーランド(新西兰)では、15年にオークランの不動産価格が急騰した(クリスティーズ・インターナショナル・リアルエステート)。17年に政権を得た中道左派の労働党は外国人の不動産購入制限、移民削減の政策を進める。
中国国民が外貨と交換できる金額は年間5万㌦である。だが、海外在住の子どもの大学教育を契機に不動産購入をする方法がある。人民元で高級時計を買い、それをドルに交換してから不動産を買う方法もある。友人や家族から海外の口座に送金する方法もある。
中国当局も資金の流出を恐れている。現在、中国国民が外貨と交換できる金額は年間5万㌦である。だが、海外在住の子どもの大学教育を契機に不動産購入をする方法がある。人民元で高級時計を買い、それをドルに交換してから不動産を買う方法もある。友人や家族から海外の口座に送金する方法もある。
カナダの税制改革は中国資本を撤退させた。19年3月11日付の「新浪看点」が現地の報道を引用し、次のように述べている。
① 中国資本の流出により、19年2月までのメトロバンクーバーの住宅販売件数は前年同期比約33%減少し、85年以降で最低水準となった。85年当時のメトロバンクーバーの人口が現在の6割ほどだったことを考えると、同地域の不動産市場の疲弊ははるかに深刻である。
② カナダ抵当住宅公社によると、大規模な新規住宅プロジェクトが中止されたことにより、19年2月のカナダの住宅建設件数は前年比13.6%減少した。年間約17万3000戸ペースの落ち込みは、ここ3年余りのカナダの住宅建設件数で最も低い。
③ 業界関係者によると、18年第4四半期のカナダの国内総生産(GDP)成長率は0.4%と減速したが、それは住宅投資の減少(過去1年間で7.5%下落)に一部起因している。カナダの平均住宅価格は15年末の水準に戻り、長年にわたる不動産ブームに終わりを告げた。
次は日本
台東区の地価は上野4丁目(中央通り)が53万RMB(840万円)/㎡、浅草1丁目(雷門通り)が19万RMB(301万円)/㎡である。環日本海構想の拠点である新潟は3,500RMB(54,900円)/㎡、富山は2,700RMB(42,700円)/㎡、内陸の長野で3,400RMB(53,200円)/㎡である(19年、国土交通省。新潟、富山、長野は市の平均。15.72円/RMB)。
北京、上海はすでに高い。粤港澳大湾区構想で深圳も高騰した。北京の家を売れば東京のビルが買える。新潟、富山、長野の広大な土地が買える。土地を安く取得し、建物を建てて貸し出せば賃料収入(income gain)が得られる。売却すれば売却益(capital gain)になる。
日本で働きたい人、子どもを日本で学ばせたい人は移住準備として物件を求める。その上、日本の不動産市場は安定しているので、「資産保全」にも適している。
左 平安国際金融中心を中心とする深圳の高層ビル群。
中 台東区で最高値の中央通りのABAB前。
右 環日本海構想の中心となる新湊大橋と立山連山。


