
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
ク ジ ラ
年金積立金管理運用独立行政法人 (Government Pension Investment Fund = GPIF)は、公的年金のうち厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っている。
従来、公的年金の積立金運用は年金福祉事業団が財政投融資に預託して行っていた。だが、同事業団は橋本政権の特殊法人改革によって01年に廃止され、年金資金運用基金へ改組された。06年には年金積立金管理運用独立行政法人が設立され、年金積立金の管理・運用業務を引き継いだ。
その運用資産は151兆円であり(2018年末現在)、米国の社会保障年金信託基金に次いで世界2位にある。年金基金の中としては、2位のノルウェー政府年金基金と比べても2倍以上の規模を誇る。「クジラ」とよばれる所以である。
財投債→市場運用
13年3月末の段階では62%が国内債であった。14年に基本ポートフォリオを国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%と定めた。
今は国内債券が28%、国内株式が24%、外国債券が17%、外国株式が24%である。国内債券のうち財投債は全体の1%であり、99%が市場で運用されている。累積収益額は57億円に達した(2018年末現在)。
軍事→ESG
2017年、ロッキード・マーチンやBAEシステムズなど、軍事部門上位10企業すべて株式を保有が指摘され(東京新聞2017年9月17日)、「持続可能な投資の促進に向けたGPIFと世界銀行グループの提携について―債券投資とESGに関する共同研究―」を発表した。ESGは持続的な企業の持続的な成長力や安定性を測る指標である。ESGが優れた企業は、長期的観点から、株価上昇や安定した配当が期待できる。
ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字である。以前はSRI(Socially responsible investment = 社会的責任投資)とよばれていた。ESG投資、責任投資(Responsible Investment)、持続可能な投資(Sustainable Investment)は似た意味をもっている。いずれも、企業の長期的な成長のためには不可欠な要素である。

